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親の老い、その先にある現実と福祉施設の役割

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こんにちは、詩の郷です。

かつては何かあるたびに相談できた親。けれど、いつの間にかその親も年を重ね、今では体調の不安や生活の変化を抱えるようになっている——。そんな現実に向き合う入居者さんが、少しずつ増えてきました。今回は、入居者さんの親が高齢になるなかで起こる変化や、それを支える福祉施設の役割についてお話しします。

親が年をとることで変わる関係性

親が体調を崩して入院したり、介護施設へ入所したりするケースは、入居者さんの年齢が上がるにつれ、徐々に増えてきます。

最近は連絡の頻度が減ってきた気がする、電話の声が以前より弱々しく感じるようになった、そんなちょっとした変化が、親の「老い」を実感させる瞬間です。

今までは頼れる存在だった親が、急に遠く感じられる。その変化に戸惑い、寂しさや不安を抱く入居者さんも少なくありません。

福祉施設でおこなわれるサポートとは?

入居者さんの親が入院したり、介護施設に入所したりした場合、グループホームのような福祉施設では、その状況に応じたさまざまな支援をおこなっています。

  • 気持ちの変化への寄り添い
    親の変化を受け入れることは、入居者さんにとって簡単ではありません。必要に応じて、気持ちを聞いたり、一緒に受けとめたりする支援が提供されます。
  • 家族との連絡の調整
    入院中の親との直接連絡が難しい場合、入居者さんの代わりにスタッフが家族と連絡を取り、様子を伝えたり、状況を説明したりすることもあります。
  • 面会やお見舞いの同行支援
    本人が面会を希望する場合には、日程調整や交通手段の確認などを支援することがあります。同行支援については、施設によって対応が異なり、必要に応じて同行支援をおこなっている事業所と連携するケースもあります。

こうした支援の有無や内容は施設によって異なりますが、「その人らしい生活を守る」という視点から、家族とのつながりを大切にする取り組みは、少しずつ広がってきています。

親を見送るという経験に寄り添う

親が亡くなったとき、入居者さんの心情だけでなく、現実的な対応も求められます。喪主を務めるのが難しい、葬儀にどう関わればよいかわからない、そもそも親戚との関係が希薄——そういった状況は決して珍しくありません。

グループホームなど、障がいのある方が生活を送る福祉施設では、まずはご家族や成年後見人、関係機関との連携をとりながら、必要な情報の共有や連絡調整をおこないます。身近に頼れる人がいない場合は、地域の福祉課や包括支援センター、行政と協力し、葬儀や手続きが円滑に進むよう支援するケースもあります。

感情面のケアと同時に、現実的な支援の手をどう差し伸べるか。施設単独では難しいこともありますが、関係機関との連携を通じて、入居者さんが安心して過ごせる環境を整えるよう努めています。

詩の郷は、これからも“家族のつながり”を大切にします

入居者さんの生活を支えるうえで、家族の存在はとても大きな意味を持っています。親の老いや別れをきっかけに、家族との関わり方が変化していくこともありますが、その変化をどう受けとめ、どのようにつなげていくかは一人ひとり異なります。

詩の郷では、そうした変化のなかでも、安心して過ごせる環境を整えることを大切にしています。できる限り地域やご家族と協力し、現実的な支援体制を整えるよう心がけています。日々の暮らしを丁寧に支えながら、ご本人とご家族の立場を尊重し、必要に応じた橋渡しができるよう努めてまいります。