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移動支援・行動援護…外出に使える制度を知っておこう

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こんにちは、詩の郷です。

「一人で外出するのは不安だけど、買い物に行きたい」「病院に通いたいけど、道がよく分からない」「たまには映画を見に行きたいな」

そんな風に思ったことはありませんか?外出したい気持ちはあるけれど、一人では心配…という入居者さんやご家族の声をよく聞きます。

実は、そんな時に利用できる心強い制度があります。それが「移動支援」と「行動援護」という制度です。今回は、この二つの制度について分かりやすくご紹介します。

移動支援は外出時のヘルパー同行サービス

移動支援は、一人で外出することが難しい方が、ヘルパーさんと一緒に安心して外出できるようにサポートしてくれる制度です。

「移動支援」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、簡単に言えば「外出のお手伝い」のことです。
ヘルパーさんが一緒に歩いてくれたり、電車やバスに乗る時にサポートしてくれたりします。

この制度は、お住まいの市町村が提供しているサービスで、障害者手帳をお持ちの方が利用できます。
ただし、利用できる時間数や費用負担、対象となる方の条件などは自治体によって異なりますので、詳しくはお住まいの市町村にお問い合わせください。

なお、移動支援は市町村事業(地域生活支援事業)のため自治体によって内容が異なりますが、後でご紹介する行動援護は国の制度(自立支援給付)のため全国共通となっています。

行動援護は手厚い見守りサポート

行動援護は、移動支援よりもさらに手厚いサポートが受けられる制度です。

特に、予測のつかない行動をとってしまうことがある方や、突然パニックになってしまう方などが対象となります。
ヘルパーさんが常に寄り添い、安全に外出できるよう見守ってくれます。

移動支援が「移動のお手伝い」なら、行動援護は「行動全体の見守りとサポート」と考えていただくと分かりやすいでしょう。

買い物・通院・余暇活動など幅広く利用可能

移動支援や行動援護は、日常生活のさまざまな場面で利用できます。

【買い物】

  • 移動支援:お店までの移動に同行し、商品選びやお会計をサポートしてもらえます
  • 行動援護:移動支援の内容に加え、突然不安になったりパニックになった時の見守りや声かけもしてもらえます

【通院】

  • 移動支援:病院への付き添いや受付手続き、お医者さんとの話で分からない時のサポートをしてもらえます
  • 行動援護:移動支援の内容に加え、待ち時間中の見守りや、医療環境での不安軽減のための継続的なサポートも受けられます

【余暇活動】

  • 移動支援:映画館、図書館、公園などへの移動同行や、活動中の基本的なサポートをしてもらえます
  • 行動援護:移動支援の内容に加え、人混みや新しい環境での不安に対する見守りや、行動の予測とサポートも受けられます

【公的手続き】

  • 移動支援:市役所や銀行などへの同行と、手続きの際の基本的なサポートをしてもらえます
  • 行動援護:移動支援の内容に加え、複雑な手続きでの混乱を防ぐための継続的な見守りとサポートも受けられます

【冠婚葬祭】

  • 移動支援:会場への移動同行と、式の間の基本的なサポートをしてもらえます
  • 行動援護:移動支援の内容に加え、特別な環境や長時間の行事での不安や行動への継続的な見守りも受けられます

このように、行動援護は移動支援の内容を土台としながら、より丁寧な見守りや心理的サポートが加わる制度です。
利用される方の状況に応じて、どちらを使うかは相談支援専門員と話し合いながら決めていけます。

相談支援専門員との計画から利用が始まります

移動支援や行動援護を利用するには、まず相談支援専門員と一緒に「サービス等利用計画」を立てることから始まります。
どんな目的で外出したいのか、どのような支援があれば安心して外出できるのかを一緒に話し合い、その内容をもとに利用の申請をします。

その後、市町村の障がい福祉課での手続きに進みます。以下は、具体的な流れの一例です。

  • 計画作成のための面談
    相談支援専門員と面談し、本人の希望や外出に関する困りごとを整理します。
  • サービス等利用計画の作成
    面談内容をもとに、支援内容や利用回数などを記載した計画書を作成します。
  • 申請・認定手続き
    市町村の障がい福祉窓口に計画書を提出し、必要な支給決定の申請をおこないます。障害者手帳や医師の意見書などの提出が必要な場合もあります。
  • 事業所選びと契約
    利用可能な移動支援・行動援護の事業所の中から、希望や相性をふまえて事業所を選び、契約します。
  • サービス利用開始
    支給決定後、サービスの利用が始まります。必要に応じて、相談支援専門員と利用状況の振り返りや調整をおこないます。

制度の利用で外出の可能性が広がります

移動支援や行動援護などの制度を活用することで、「行ってみたい」「挑戦してみたい」と思っていたことに一歩踏み出しやすくなります。

「知らない道を歩くのが不安」「人が多い場所は緊張する」――そんな気持ちを大切にしながら、必要な支援を受けることで、外出へのハードルを下げることができます。

買い物に行って好きなものを選ぶこと、公園で風にあたること、映画を観て笑うこと。そんな時間が、生活の中に自然と増えていくように。

外出は、ただの移動ではなく、心の動きを育む大切な時間です。制度の活用について気になることがあれば、ぜひお住まいの市町村や相談支援事業所にご相談ください。

詩の郷では、日々の暮らしに寄り添う支援をおこなっています

詩の郷では、入居者さん一人ひとりの気持ちやペースを大切にしながら、安心できる毎日を支える取り組みをおこなっています。

外出支援の制度そのものは提供していませんが、「外に出てみたい」「何かに取り組んでみたい」という想いに寄り添いながら、地域の制度や関係機関と連携し、可能性を広げるお手伝いをしています。

不安なことや気になることがあれば、いつでもスタッフに声をかけてくださいね。私たちは、皆さんの「始めてみようかな」という気持ちを大切にしたいと考えています。