こんにちは、詩の郷です。
お金の使い方に不安を感じるのは、誰にでもあること。
でも、障がいのある方の場合、特有のトラブルにつながることも少なくありません。
身近にあるはずの「お金」のことでつまずいてしまうと、生活全体の不安にもつながってしまいます。
詩の郷では、日々の暮らしの中で、金銭管理を安心しておこなえるようサポートしています。
◇障がいのある方に多い金銭トラブルとは
見えにくい困りごとにこそ、支援の力が必要です。障がいの特性によって起こりやすい金銭面のトラブルには、次のようなものがあります。
- 感情のコントロールが難しい方(知的障がいや精神障がいのある方に多く見られます)
欲求や気分の高まりを抑えにくく、必要以上の買い物を繰り返してしまうことがあります。 - お金の優先順位をつけるのが難しい方(知的障がいのある方に多く見られます)
毎月の支払いよりもその場の欲求を優先してしまい、生活費が足りなくなることがあります。 - 判断力にばらつきがある方(発達障がいのある方に多く見られます)
言葉をそのまま受け取りやすく、強い勧誘や派手な広告を信じて契約や購入をしてしまうケースがあります。「今だけお得」「すぐに儲かる」といった表現に対して警戒心を持ちにくく、詐欺や悪質商法の被害に遭いやすいです。 - 不安や緊張が強い方(統合失調症などの精神障がいのある方に見られます)
手元にお金があること自体が不安になり、安心したくて無計画に使ってしまうことがあります。
これらは、本人の努力不足ではなく、障がいの特性によって起きやすいものです。
適切なサポートにより、回避したり学んだりできます。
◇「全部お任せ」ではなく、「一緒に考える」支援
金銭管理の支援は、「できないから全部代わりにやる」ことではありません。
むしろ、本人が少しでも自分のこととして向き合えるように、「一緒に考える」プロセスこそが大切です。
障がいの特性や生活スタイルによって、どのような方法が安心できるかは一人ひとり異なります。
- お金を見える形で管理する支援
封筒やケースなどを活用して「食費」「おやつ代」などに分けて管理します。使いすぎを防ぐための支援です。 - 金融機関の利用練習
ATMの操作や通帳記帳を一緒に練習しておくと、自信を持って手続きを進められるようになります。 - 日々の支出をふり返る習慣づくり
レシートやメモを一緒に確認しながら、何に使ったかを整理する時間をつくります。 - 相談できる関係性のなかで判断をサポート
「これは買ってもいいかな?」と迷ったときに、気軽に声をかけられる環境があると、安心感につながります。
「それならできるかも」「ちょっとやってみようかな」と思えることをきっかけに、試行錯誤しながらお金の扱い方を身につけていけるよう、一緒に工夫を重ねています。
◇納得してお金を使えた経験が、暮らしに変化を生む
金銭管理の力は、一気に身につくものではありません。だからこそ、自分で選んで、納得してお金を使えたという経験が、その人なりの変化につながっていきます。
- 目的を持ってお金を使う経験 たとえば、月に一度「コンビニのコーヒーとスイーツを買う」と決めて使うことで、計画的な使い方を覚えるきっかけになります。自分の中
ルールを決めてお金を使うと、無駄遣いが減って気持ちにもゆとりが生まれやすくなります。 - 記録を工夫しながら残す経験
レシートを失くしてしまったことをきっかけに、ノートにメモするなど自分なりの記録方法を見つけていくことがあります。 - うまくいかなかった体験からの学び
「思ったより高かった」「足りなかった」といった経験が、次にどう使うかを考えるヒントになることもあります。
“できるかどうか”よりも、“どんなふうに向き合ったか”。その積み重ねが、暮らし全体にじわっと変化をもたらします。
◇詩の郷では、一人ひとりに合わせた金銭管理の支援をおこなっています
詩の郷では、スタッフに「まかせきり」でも、入居者さんが「一人きり」でもない支援を大切にしています。
お金の不安が軽くなることで、生活にゆとりが生まれ、笑顔の時間も増えていきます。
これからも、入居者さんに寄り添いながら、金銭管理を支える工夫を続けていきます。