障害年金の受給方法

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障害年金は、病気やけが、先天性の障害などで生活や仕事に支障がある方を支援する公的制度です。
加入している年金制度に応じて「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。
それぞれ受給条件が異なり、一定の要件を満たして申請すれば受け取れます。
ここでは、障害年金を受け取るための流れや手続きについて分かりやすく解説します。

◇ 障害年金の種類

障害年金には2種類あり、それぞれ対象者や受給条件が異なります。

  • 障害基礎年金
    日本国内に居住し、国民年金に加入している方が対象です。国民年金は、20歳以上60歳未満の日本国民に加入義務がありますが、海外在住の方や60歳以上で特定の条件を満たす方は任意加入となります。障害の程度が重く、日常生活に支障がある場合(障害等級1級または2級)、障害基礎年金を受給できます。
  • 障害厚生年金
    厚生年金に加入している方が対象で、障害基礎年金に上乗せして受給できます。障害の程度に応じて1級から3級までの等級に分かれ、1級や2級は日常生活や仕事に大きな支障がある場合、3級は主に就労が制限される場合に支給されます。
◇ 受給のための3つの要件

障害年金を受け取るには、一定の条件を満たす必要があります。
ここでは、初診日、障害の程度、保険料の納付状況についての、3つの要件を説明します。

  • 初診日要件
    障害の原因となった病気やけがの「初診日」が、国民年金または厚生年金に加入している期間内であること。
    ※初診日が20歳前または60歳以上65歳未満であれば、国民年金に加入していなくても障害基礎年金の対象となります。初診日が65歳以上の場合は、障害年金の対象外ですが、介護保険制度や高齢者向けの福祉サービスを利用できます。
  • 障害認定日要件
    障害認定日の時点で、障害等級1級または2級(厚生年金の場合は3級も含む)に該当すること。
    ※障害認定日とは、障害の程度を正式に判断する基準日で、障害等級が決定されます。障害年金受給のスタート地点でもあります。原則として、初診日から1年6カ月経過後が障害認定日となりますが、症状がそれより前に固定(治療を続けても改善が見込めない状態)した場合は、その日が障害認定日です。一部の疾患では、人工透析の開始日や手術を受けた日が障害認定日となる特例もあります。
  • 保険料納付要件
    初診日の属する月の前々月までに、国民年金の保険料を3分の2以上納付していること。
    ※ただし、過去の納付が足りていなくても、直近1年間に未納がなければ特例として受給できる場合があります。
◇ 初診日の証明方法

初診日は、障害年金の受給資格を判断するうえで欠かせない基準です。申請時には、以下のような書類で初診日を証明する必要があります。

初診日を証明できる主な書類

  • 診察券、カルテ、診断書
  • 健康保険の受診記録(協会けんぽ、市区町村の国民健康保険窓口などで取得可能)
  • 紹介状や医療機関の記録
  • 交通事故証明書(事故が原因の場合)
  • 身体障害者手帳の申請時の診断書

証明が困難な場合の対応策

病院のカルテが廃棄されていたり、初診の病院が閉院している場合は、以下の方法で証明できます。

  • 受診状況等証明書(初診の医療機関で発行)や健康診断の記録を活用
  • 健康保険の受診履歴や紹介状(他の医療機関への転院時に発行される文書)を提出
  • 第三者証明(医療従事者、友人、同僚などの証言)を利用
  • 生命保険や損害保険の診断書を提出(保険請求時の診断書により初診日を証明できる場合がある)

ただし、初診日を証明する書類が1つだけでは不十分と判断されることもあります。
その場合、複数の証明資料を組み合わせると、認められる可能性が高まります。

◇ 障害認定日の証明方法

障害認定日は、障害の程度を判断する重要な基準です。申請時には、以下の書類で障害認定日を証明する必要があります。

障害認定日を証明する書類

  • 障害年金用の診断書
    障害年金の申請専用の診断書で、障害認定日における症状の詳細や日常生活への影響を記載します。日本年金機構の指定様式があり、診断を受けた医療機関で作成されます。
  • 病歴・就労状況等申立書
    申請者本人が作成し、初診日から現在までの病状の経過や日常生活・仕事への影響を記載する書類です。日本年金機構の公式サイトでダウンロードできるほか、年金事務所でも入手できます。
  • 医療機関の診療記録
    認定日における診察内容が分かるものです。

障害認定日に基準を満たさなかった場合でも、その後症状が悪化した場合には、事後重症請求(詳細は後述)できます。

◇ 保険料納付の証明方法

障害年金を受給するためには、一定の期間の年金保険料納付が要件です。申請時には、以下の書類で保険料納付要件を証明する必要があります。

保険料納付を証明する書類

  • 年金記録(日本年金機構から取得可能)
  • 年金手帳(過去の納付履歴が記載されている場合)
  • 納付証明書(市区町村または年金事務所で取得)

納付要件を満たしていない場合でも、直近1年間に未納がなければ特例として受給できる場合があります。

◇特別な条件で受給できる障害年金制度
  • 20歳前の障害による障害基礎年金
    20歳前に初診日がある場合、保険料納付要件なしで受給可能です。ただし、所得制限があり、一定の収入を超えると支給停止となります。具体的には、前年の所得が一定額を超えると、支給額の一部または全額が停止される仕組みです。扶養親族がいる場合は、その人数に応じて制限額が緩和されます。
  • 事後重症制度(障害認定日で基準を満たさなかった場合)
    障害認定日の時点で障害等級に該当しなかったが、その後症状が悪化し、基準を満たした場合に申請できる制度です。65歳までに請求すれば、請求した翌月から障害年金を受け取れます。
  • 併合認定( 2つ以上の障害がある場合)
    複数の障害がある場合、それらを合算して障害等級が引き上げられることがあります。ただし、すべてのケースで認定されるわけではなく、個別の審査があります。例えば、視力障害と聴覚障害がある場合、単独では基準に満たなくても、総合的に判断されてより高い等級に認定されることがあります。
◇ 障害年金の受給額(2024年度)

障害年金の支給額は、障害の等級や家族構成によって異なります。ここでは、2024年度の基準額を紹介します。

  • 1級
    年額:1,020,000円(月額85,000円)
  • 2級
    年額:816,000円(月額68,000円)

子どもがいる場合は加算があります。1人目と2人目は年額234,800円、3人目以降は年額78,300円です。
なお、これらの金額は、物価や賃金の変動に応じて毎年見直されるので、最新の情報は日本年金機構の公式サイトや厚生労働省の障害年金ページなど、公的機関のサイトでご確認ください。

◇ 申請手続きの流れ

障害年金を受給するには、必要な書類をそろえて申請手続きをする必要があります。
ここでは、手続きの流れを紹介します。

1.必要書類の準備
3つの要件を証明するための書類に加え、年金請求書、本人確認書類、振込口座の確認書類などが必要です。なお、これらの書類は、申請者の状況によって変わるため、事前に年金事務所で必要書類を確認するのが確実です。

2.市区町村窓口または年金事務所で手続き

3.審査(約3カ月)

4.受給開始(偶数月の15日に支給)

◇ 申請に関する注意点

障害年金の申請には、期限や手続きの進め方に関して注意すべき点があります。
適切に対応しないと、受給できるはずの年金を受け取れなくなることもあるため、慎重に手続きを進めることが大切です。

  • 時効に注意
    請求が遅れると、過去分の年金が時効(5年)で受け取れなくなるため、早めの手続きが重要です。
  • 障害の程度が変わった場合の再認定
    障害の程度が変わった場合、再認定の申請をすると等級変更できます。
  • 支給停止後の再申請
    一度支給停止になった場合でも、その後、障害の状態が悪化したり、所得が減少したりすると、再度申請できます。
  • 障害手当金の確認
    障害厚生年金の3級に該当しない場合でも、一時金として「障害手当金」が支給されるケースがあるため、受給対象となるかの確認が必要です。
  • 精神障害や内部障害の申請(見た目ではわかりにくい障害も対象)
    精神障害や内部障害(心疾患、腎疾患、肝疾患、呼吸器疾患など外見からは判断しにくい障害)では、病状が安定していても生活に支障がある場合は申請できるため、医師の診断と相談が大切です。
◇ 申請後の流れと受給後の注意点

申請後は、障害年金の審査がおこなわれ、審査が完了すると受給が開始されます。
受給後も、状況に応じて定期的な手続きが必要になることがあります。

  • 年金証書の送付
    審査が完了して、障害年金の受給が決定すると、年金証書が送付されます。
  • 障害年金の支給日
    障害年金は偶数月の15日に支給され、申請後の初回支給日は、送付される決定通知で確認できます。
  • 診断書の提出
    障害の程度によっては、一定期間ごとに診断書の提出が必要となり、その内容で引き続き受給できるか審査されます。
  • 収入や就労状況の変化による見直し(不正受給を防ぐための重要な手続き)
    収入や就労状況が変わると、年金額や支給の有無が見直されることがあります。届け出をしないまま受け取り続けると、過払い分の返還を求められる場合があります。ただし、年金機構のミスや少額の過払いなど、ケースによっては返還が免除されます。意図的に届け出をしないと、不正受給とみなされることがあるため、速やかに申告しましょう。
◇ まとめ

障害年金を受給するには、初診日要件、障害認定日要件、保険料納付要件の3つを満たす必要があります。また、申請が遅れると、過去の年金が時効により受け取れなくなるため、早めの手続きが重要です。
障害年金は、生活や仕事に支障がある方にとって重要な支援制度です。申請方法を理解し、適切に手続きを進めることで、経済的な安心を得られます。